大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和35(オ)976 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人境清太郎の上告理由第一点について。

原判決は、所論甲第一号証の一、二について、第一審証人Dの証言によりその成

立の真正を認めうるとしており、同号証の外挙示の証拠をも合せて、判示事実を認

定しているものであること、および所論乙号各証についても、これを証拠として判

示事実を認定しているものであることは判文上明らかである。所論は原判示に副わ

ない主張であつて、ひつきよう原審の裁量に属する証拠の取捨、判断および事実の

認定を非難するに帰し採るを得ない。なお、所論の手形提出命令の申請は、記録に

よれば、原審の最後の口頭弁論期日になされ、採否を決することなく結審し、右結

審については代理人たる弁護士から何らの異議も申し立てられていないのであるか

ら、本件訴訟の審理経過に照らし、原審訴訟手続に所論のような違法は認められな

い。

同第二点について。

原判決が、本件取引の代金債務はEの金三〇万円の支払により皆済とされ、解決

したとの上告人の主張を採用し得ない旨判示したことは、挙示の証拠に照らし是認

できる。所論は、原審の裁量に属する証拠の取捨、判断、事実の認定を非難するも

のであつて採るを得ない。

同第三点について。

原判決は、所論F振出の約束手形が、いずれも上告人の破産会社に対する取引代

金債務の支払のために振出されたものであつて、支払に代えて振出されたものでな

いことを認定し、上告人の破産会社に対する本件取引代金債務が依然として存在し

- 1 -

ている旨判示していることは、判文上明らかである。しからば、所論の主張は原判

決がこれを否定した趣旨であることは明らかであり、原判決には所論民訴一九一条

違反の点はなく、そして原判決の右判断は、原審の確定した事実関係の下において

は正当と認められる。所論は採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 高 木 常 七

裁判官 斎 藤 朔 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!